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大革命が終わった後、フランスは近代国家として急速な成長を遂げていきます。産業、経済、政治、外交、どれをとってもヨーロッパ随一の先進国として発展を続けていきますが、中でもフランスが国内外に誇ったのはその豊かな文化でした。絵画、建築、音楽など、さまざまな分野で偉大な芸術家たちが素晴らしい作品を次々に生み出していきます。とりわけ文学の世界では、ユゴー、バルザック、スタンダールといった綺羅星のような作家たちが活躍していました。私の优德体育,优德w88体育appは、こうした文学者の残した作品を分析することによって、19世紀フランスに生きた人々の考えや、ものの感じ方をひとつひとつすくい上げていくことです。
とりわけ私は、オリエント旅行記を題材に、当時のフランス人が「他者」をどう認識したかという問題を考えています。この時代、多くのフランス人がオリエントと呼ばれる、現在の中近東地域を旅しています。彼らは旅先で、自分とは言葉も習慣も宗教も人種も違う人間と出会います。そうした際、こうした「他者」は彼らの目にどう映ったのか、自分とはまるで無関係の異星人のような存在に思えたのか、あるいは同じ人間として親近感を覚えたのか、旅行者の反応はさまざまです。旅行記に現れたさまざまな記述を比較し、そこに歴史学、文化人類学、哲学などの知見を取り込んでいくことで、全く新しい文学优德体育,优德w88体育appが可能になると考えています。
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私は20代終わりから30代はじめにかけて、博士論文を書くためにフランスのパリに留学していました。論文を仕上げるのは大変でしたが、日々目にするパリの人々の暮らしは私を虜にしました。公園で、メトロで、マルシェで、彼らは実に楽しそうに人生を生きています。私が「他者」の問題を扱おうと考えたのは、今思えば、あの当時のフランスでの体験が大きかったように感じられます。それまで日本人として生きてきた自分が、初めて異文化の中に身を置いた時に感じた違和感。時には異邦人としての心細さを覚え、なかなか通じない自分のフランス語に苛立ち、自分とは何なのかという問題を深く考えることになりました。もちろんフランス文学の魅力はいつでも私を惹きつけてやみませんが、作品を読むにあたっては、常に「日本人として読むフランス文学」という視座を頭の片隅に置くようにしています。